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グルメからリサーチ
「ナゴヤめし」。この言葉がマスコミに登場するようになったのは2002年頃のこと。具体的には、「味噌カツ」「味噌煮込みうどん」「うなぎのひつまぶし」「手羽先唐揚げ」「あんかけスパゲティ」「小倉トースト」など、名古屋圏独特の郷土料理を指す。これらを看板メニューとする名古屋の外食ビジネスが、数年前からこぞって東京進出。予想外に東京人にウケたことから、「ナゴヤめし」なる言葉で総称されるようにもなったのである。
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■「矢場とん」のみそかつビジネス vol.1
□味噌カツはゲテモノではなく伝統を活かした堂々たる郷土料理ビジネス
ナゴヤめしの代表格のひとつ「味噌カツ」。トンカツ+味噌、という普通なら“ありえね〜”マッチングが、名古屋圏以外の人に強烈なインパクトを与える。だが、奇をてらった珍メニューと思われがちだが、ナゴヤの食文化のキモである豆味噌を最大限に活かした、郷土料理の王道とも言うべき一品なのである。
この味噌カツの代名詞的存在が、名古屋市大須に本店を構える「矢場とん」。昭和22年創業の老舗にして、近年は支店を次々と出店。今や他の追随を許さない味噌カツ・ビジネスのNo.1ブランドである。(矢場とんでのメニュー名は「味噌カツ」ではなく「みそかつ」)その人気ぶり、そして魅力をナマ体験するため、あえてピーク時を狙って食べに行くことに。(詳細は下記レポートにて)
■老舗のブランド力の構築は、21世紀以降の積極ビジネス展開から
矢場とんの今日の繁盛ぶりを語る上で見逃せないのは、多店舗ビジネスの成功である。確かに、矢場とんはかねてより名古屋の味噌カツの代表店であり、人気店だった。だが、ほんの5〜6年前までは、並ばなければ入れない、というほどではなかった。
2001年以降の多店舗化によって、知名度が高まり、人気もグングン右肩上がりになっていったのだ。とんかつ店という業態は個人ビジネスの店が大半。名古屋では、とんかつ店の大半が味噌カツを出しているが、チェーン・ビジネスを果たしている店はほとんどない。矢場とんは、同業者に先駆けて積極的な姉妹店出店に乗り出し、かねてよりのNo.1ブランドの地位を揺るぎないものにした。
しかも、あらためてふり返ると、立地選定がなかなかツボを得ている。01年の名駅「エスカ地下街」を皮切りに、02年、三重県のアウトレットモール「ジャズドリーム長島」、04年の東京銀座、05年の「ラシック」(三越系のファッションビル)。地元での人気は既に確固たるものだったため、その次のステップとして、ナゴヤ以外からの来客が数多く見込まれる場所に次々と出店。他エリアへ向けて着々と知名度アップを図っていったのである。
同時に、矢場とんでは、多店舗ビジネスによるスケールメリットを活かして材料の品質向上=味のレベルアップにも取り組んできた。この努力によって、新規客をどんどん取り込みつつ、地元のヘビーユーザーのハートをがっちりワシ掴み。その結果、行列もどんどん伸びていったと言えるだろう。
老舗のブランド力。何十年、何百年を経て築いてきたその力の前には、太刀打ちしようがない。ほとんどの経営者は、やっかみ半分、あきらめ半分でこう考えるだろう。だが、矢場とんが真のブランド力を身につけたのは、創業50余年の歴史の中で、21世紀に入ってからのこと。「老舗」という看板は、単に歳月の積み重ねではなく、思い切ったビジネス・イノベーション(経営革新)を礎に築き上げられるものなのだ。今や揺るぎない矢場とんブランドは、老舗のあり方をあらためて思い知らせてくれる。
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