野菜ソムリエ 「森之翼」のあんかけスパゲティを徹底解剖!

あんかけスパゲティ発祥の地「そーれ」

代表的な名古屋のご当地グルメ「あんかけスパゲティ」

あんかけスパゲティ極太のスパゲティに、ピリッと辛みのきいた、とろみのあるトマトベースの濃厚なソース。名古屋のご当地グルメの中でも賛否両論あるのが、「あんかけスパゲティ」だろう。ある東京人に言わせると「あんなものはスパゲティじゃない」と都会人ぶる。ある関西人に言わせると「味が濃すぎて繊細さのカケラもない」と食通ぶって批判する。他県人にとってはハードルの高い名古屋名物のようで、「あんかけスパゲティを食べたら腹をこわした」という人もいるほどだ。とは言え絶大なファンは多く、その濃厚な味とボリューム故に男性の支持者が多数を占める。昼時のあんかけスパゲティ店での、スーツ姿のサラリーマンの行列は、最早名古屋の風物詩と言っていいだろう。

そのあんかけスパゲティ「発祥の地」とされているのが、東新町交差点のすぐ近くに店をかまえる「そーれ」だ。有名な「ヨコイ」と並ぶ老舗だが、「いったいどちらが元祖なのか」と疑問に思った人もいるだろう。「そーれ」の創業は1961年。当時の創業メンバーは2人で、実は、そのうちいっぽうが独立して「ヨコイ」を作り、もういっぽうがそのまま「そーれ」を守ったのだと言う。その後、現在の店長のお父上にお店を引き継ぎ、「そーれ」は今もその名を守っているのだとか。どうやら、「そーれ」も「ヨコイ」もどちらも「元祖」というのが、正解のようである。これは、「そーれを知らずしてあんかけスパゲティを語るなかれ」ということか!てな訳で、行って来ました。

「そーれ」レポート 2010年3月某日

外観地下鉄栄駅を降り、東へ。飲み屋やパブが立ち並ぶ女子大小路を抜けると、東急ホテル南側の細い道筋に「愛信プラザビル」という雑居ビルがある。その2階に「そーれ」はある。イタリアの国旗を模した看板を通り過ぎてドアを開けると、意外に(とは言っては失礼か)店内はさっぱりとしていて清潔。パッと見は喫茶店のようでもある。

店内の様子お昼前の11時という時間にも関わらず、お客が入れ替わり立ち替わり。中には「あ、あった、ここだ!」と話しながら来店する年配のご夫婦や、スーツケース片手の旅行者らしき男性などもいて、その「有名店らしさ」が伺える。

メニュー 席に着き早速メニューを開く。30種類は超えようかという「あんかけメニュー」がズラリと並んでおり、どれにしようかと迷ってしまうほどだが、主にトッピングが「玉子系」「野菜系」「魚介系」「スタミナ(肉)系」の4体系に分類されているだけで、基本のあんかけソースは全て変わらない。そこへのせる「具」のみ、好みで選べばいいという訳だ。「何事も基本が大事」と、一番ノーマルなメニューである、店名と同じ名前の「そーれ」を注文する。「パッと食べてサッと出て行く」というのがあんかけスタイル。あっという間に料理が出てくる。「そーれ」は赤皮のウィンナーに刻んだゆで卵のみの、非常にシンプルなメニュー。そこへ、くだんの濃厚なあんかけソースがかかっている訳だ。フォークでソースをすくってみる。「どろり」という表現がまさにピッタリ。「ソースは基本の〈ミソ〉に、塩・コショウ・味の素を加えて作っています」と、店長の金岡さんは話す。「この〈ミソ〉があんかけの味の基本、原材料は玉ねぎ・にんじん・じゃがいも・牛の粗挽き肉・トマトペースト・トマトピューレといった材料を使っています。どこのお店もこの基本の材料は変わらないと思いますが、その配分や調理法がポイント。企業秘密ですが、少しだけタネを明かすと、ウチではこの基本材料を配分して〈ミソ〉の状態にするまでに3日、その後さらに1週間ねかせて、お客さんに出すまでにはトータルで10日間かけています」とのことである。そこまでしなければ、この濃厚なソースは完成しないという訳か。

メニューまず、ソースをペロリとひと口。ピリっとした辛みがあるが、それだけじゃない、なんとも奥行きの深い味わいで、しっかりと「濃い」。これぞ名古屋の味。この「あん」をごはんにかけて食べても旨いに違いない。それを、極太2.2mmの麺にからめて頂く。太めの麺にとろみのあるソースがしっかり絡み付いて、「これはタマラン!」という感じ。できるだけ「ソースの海」に麺を「泳がせて」、しっかりからめてから頂く事をお勧めする。なるほど確かに油も濃厚で「しつこいのはちょっと…」というお上品な方には、ツライかも知れない。「麺は茹でてから、一度水で「シメ」ます。その後、再度油に「くぐらせて」からお出ししています」とのことである。そのうえボリューム満点で、「がっつり食べたい」という男性に人気なのも頷ける。ちなみに、1.2倍、1.5倍、2.0倍という大盛りメニューも存在している。

■もうすぐ創業50年、あんかけスパゲティは名古屋の伝統文化

「2年後には、創業50年を迎えます。日頃の感謝を込めて、イベントも考えているんですよ」と話す店長の金岡さん。あんかけスパゲティの味は、50年前からまったく変わっていないんですか?「さすがに、そうはいきません。時代に合わせて味の好みも変わりますから、合わせて変えていくようにしています。昔はもっと味が濃厚だったんですよ。ソースはもちろん、使う油もラードだけ。今では、ラードにサラダ油を混ぜて使っていますけどね」

時代と共に、様々な変化を遂げて来たあんかけスパゲティ。今では様々なタイプのお店も増え、ライトなものから濃厚なものまでたくさんの「流派」が存在している。中には、女性向けのオシャレなお店も存在しているようだ。いまだ未体験の方には、是非ともお勧めしたい名古屋のご当地グルメである。お試しあれ。